肩甲骨内側や棘上筋を緩める方法(講習会メモ)
某講習会に参加してきました。
▼肩関節をあげやすくする一つの提案
肩甲骨内側剥がし
自分のポジションをしっかり整え、垂直に胸骨を触れる
肩甲骨内側縁に指を引っ掛け、上肢を前後に揺らしてもらう
すると、内側縁が緩む感じが出てくる
肩関節をあげたり、腰を後屈したりすると前後評価ができる。
肩甲骨内側縁
内側縁から上角の疼痛部位を探す
小円筋を引っ掛け把持しながら引き剥がすように後方へ動かすor上肢を前後に揺らしてもらう
すると疼痛部位が少なくなる。肩が上げやすくなる。
棘上筋のリリース
棘上筋を触診しておく
触診しながら、肩甲骨内側縁~下角にかけて引き剥がすようにして肩甲下筋を触れる
揺らしてリリースし、前後評価を行う。
呼吸をしやすくする
胸骨の圧痛部位を確認します。(最も痛いところ)
胸骨と僧帽筋の起始部に着目します。
胸骨圧迫しつつ僧帽筋起始部(心臓が左にあり左が痛い場合が多い)を触診
一方の股関節を屈曲し内外旋実施
しながら、腕を前で組み股関節とは逆の動きで動かす。
すると胸骨部の痛みがへり、心外膜の動きが良くなり、胸郭の動きがよくなり
酸素飽和度が上がったり、呼吸がしやすくなったりします。
▼fasciaの役割
fasciaには役割として
1滑走性、2防御
があります。
立位前屈を行うと、筋肉は25cmほど伸びると言われています。
神経や血管は7cmほど伸びると言われています。
そんなとき、動くことで摩擦が生じると損傷してしまうことになります。
そうならないためにも、
筋や腱、血管、靭帯、神経には間にfascia(結合組織)が存在しています。
組織が損傷しないように十分に動くようにし保護しています。
血流障害などが起こることで、癒着し動きが悪くなります。
動きが悪くなれば、それにつられて動きが制限されて肩が痛いや腰が痛いといった症状に繋がります。
「
・肩をあげてみてください
・服を止めておいてください
・上がりにくいですよね
・今まで患部を治療してて良くなりましたか?
・なかなか良くならないですよね
・fasciaに着目してやっていましょ
」
このようにしてfasciaを理解していただいてからでないと、
痛いところをなんでやってくれないんだ!という不満が出てきますのでご注意を。
▼エコーの見方
エコーで見る点は1つです。
黒くなっているところと、白くなっているところ
黒くなっているのは水分量が多く黒くなっています。
逆に白くなっているのは水分量が少ない証拠です。
皮膚の表面の方は大気に揮発して水分量が少なくなります。
そのため白くうつりやすいです。
そしてこの場所はマッサージで動きをよくすることができます。
しかし深い部分の白い部分、つまり水分量が少ないところはなかなか直すことができません。
このようなところに医者が行なっている方法でハイドロリリースがあります。
しかし筋膜リリースを使っても直すことができます。
白い部分は筋の配列もバラバラであったりします。
そのバラバラなのをリリースし動きを加えることで正常な配置に戻していくことが可能です。
▼3ステップ
1繋がり
知っておくことが大前提です。
2評価
痛みを出す動作を行います。見立てをつけ押して、痛い動作を行ってもらい
軽くなったところを探します。
これは脊髄反射により過緊張部位が動くことで癒着が多少取れることで緩み滑走がよくなります。
触れた感覚は強く押さずに抑える程度で行う。
3治療
繋がりを使った振動刺激
可動性をあげ、機能性を上げていきます。
▼リアルで学ぶメリット
・セミナーできてる隣の人なおせたら3人開業していいかも
・緩む感覚を知ることができる
・相談できる場ができる
筋膜による痛みや筋出力低下の理由
▼ヒアルロン酸の運動生理学
運動によりヒアルロン酸は増加します。
phの低下(酸性化)が起き、ヒアルロン酸の粘性が増加します。
することによりヒアルロン酸の高密度化(硬結)が起きます。
▼筋膜とヒアルロン酸
・ヒアルロン酸は疎性結合組織に豊富であります。(Piehl-Aulin K,1991)
・深筋膜と筋表面に限局して存在します。(Mc Conbe D et al,2001)
深筋膜はヒアルロン酸を生成しています。(Klein DM,1999)(Ellis FD,1995)(Katzman BM,1999)
深筋膜に存在する線維芽細胞がヒアルロン酸の生成に寄与しています。
▼ヒアルロン酸の粘性増加
・四肢や体節の可動性低下はヒアルロン酸濃度を上昇させます。
・一週間以上の不動はヒアルロン酸濃度を上昇させます。(Okita M,2004)
・炎症組織でヒアルロン酸の増加が観察されます。(Cowman MK,2015)
・損傷した骨格筋のヒアルロン酸含有量は上昇します。(Torihashi,2015)
➡︎over useや外傷、不動、廃用、手術により、ヒアルロン酸の粘性が増加します。
▼筋膜機能障害による痛み
over useや外傷、不動、廃用、手術により、ヒアルロン酸の粘性が増加します。
筋膜の滑走性不全や高密度化、可動域低下、筋出力低下が起きます。
起こることで代償運動を行うこととなり、多分節で過剰な運動をしなければいけません。
代償が効かなくなった部分で痛みが出現します。
▼筋膜機能障害による筋出力の低下
ヒアルロン酸の高密度化により筋外膜の伸張性低下します。
筋紡錘が適切に働かなくなります。
α-γ連関の機能不全がおきます。
筋出力の低下が起きます。
▼筋繊維の37%は深筋膜に停止する
筋と筋挿入の37%が停止腱に行かずに直接深筋膜に停止します。(Smeulders,2005)
多裂筋の機能不全改善:PFLテストを用いて
- はじめに
- 対象
- 機能
- 特徴
- 触診
- 評価
- エクササイズ
- 関連内容
胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲胸郭関節の触診
胸鎖関節、肩鎖関節、肩甲胸郭関節の触診
●胸鎖関節の触診
関節の形状:
鞍関節
多軸関節(関節円板があるから)
触診方法
鎖骨を上から触診します
内側に移動して凹む位置を確認します。
評価
肩関節屈曲
肩回し
呼吸の入り具合、胸郭の膨らみ具合
寝返り動作
起立動作(胸鎖関節が硬いと立ち上がりにくい、腕を後ろで組むと立ち上がりにくいのと同じです。)
動作⇨局所評価⇨仮説⇨検証⇨アプローチ⇨再評価 していきます。
機能不全の改善方法
モビライゼーション
鎖骨を指のVの字で挟み込みます。
反対の手でMP関節付近を反対側PSIS方向に圧迫を加えます。
endfeelを確認しながら深呼吸を5回程度繰り返します。
臨床的な話
グリグリ押さずに、反対の手で呼吸に合わせて少しずつ深く深くしていきます。
●肩鎖関節の触診
関節の形状:
平面関節
多軸関節
触診方法
鎖骨を上から触診します。
外側に移動していきます。
引っかかる部分が肩鎖関節です。
※S字カーブしている初めのカーブを間違えやすいです。
またこの位置には僧帽筋や三角筋がつくため触りづらくなります。
評価
肩関節を水平内転(肩甲骨外転)や水平外転(肩甲骨内転)します。
すると水平内転では肩峰と鎖骨の間が狭小するので、鎖骨が上へ盛り上がってきます。
また水平外転すると肩峰と鎖骨の間が拡大するので、広くなり押し込めます。
※horizontal flexion test
機能不全の改善方法
肩鎖関節のクリアランスの向上
肩鎖関節を触診します。
腹側に離開していきます。
前方に引き出していく様にします。
そのとき肩甲骨が動かない様にして、肩鎖関節直上の引っかかりは少し強めに離開します。
離開したまま深呼吸を5回程度行います。
臨床的な話
鎖骨の近位も遠位も多軸のため、動かなくなると可動域制限が生じてきます。
●肩甲胸郭関節の触診
関節の形状
肩甲骨と胸郭からなり、関節の形状はなし
軸もなし
機能的な関節です。
触診方法
脊柱から4横指外側と言われますが、人により異なります。
上腕骨を基準とした内側に肩甲骨があります。
手で触れ、セラピストのMPあたりで引っかかるところが肩甲棘になります。
内側にたどると内側縁
※内側縁と肋骨角を間違えない様に!
内側縁は中枢から外側に向けて触診します。
下縁へいくと下角です。
それより外側に行くと外側縁となります。
評価
肩甲骨を動かします。
機能不全の改善方法
肩甲胸郭関節のクリアランスの向上
側臥位で肩甲骨をしっかり把持します。
挙上・下制・内転・外転など動きやすい方向を探ります。
動きやすい方向に動かせる範囲で20回程度動かします。
筋緊張が増加しない範囲で行います。
行っていくと少しずつ動きが良くなるので大きくしてきます。
臨床的な話
想像よりも肩甲骨は大きい、小さいあると思います。
小円筋:90度屈曲位での外旋で強く作用する
はじめに
この記事は、医学書籍・医学論文を参考に作成されています。
対象
・筋肉を治療対象とする専門家(理学療法士、柔道整復師、あん摩・マッサージ師、整体師)
・筋肉を学ぶ方
・障害を受けた方
機能
起始:肩甲骨後面の外側縁近位2/3
停止:上腕骨大結節の下面(inferior facet)
上部線維:大結節後縁下部に面で停止
下部線維:外科頸に線状に停止
神経:腋窩神経 C5,6
作用:肩関節の外旋・内転
骨頭の安定化(挙上位に置ける関節包の緊張を高め骨頭を支持)
90度屈曲位での外旋
後方関節包の挟み込み防止(外旋時)
特徴
・小円筋は腱板を形成する4つの筋群の一つであります
・小円筋の関節包側の線維軍は、関節包の後下方部に直接付着しています。
・走行は捻れる(停止の上部線維は起始では遠位に、下部線維は起始では近位に位置している。)
・小円筋の深層線維の機能
後方関節包の挟み込み防止、関節包の緊張を高め骨頭を支持
・上腕三頭筋は大円筋の表層を通り、小円筋の深層を通ります。
・小円筋と大円筋は真逆の作用になります。
・後方部痛発生の要因となります。
触診
肩関節90度屈曲位で外旋動作を行うことで、収縮を確認して触診を行います。
(ちなみに内旋20~30度で反復させるとわかりやすい)
⇨これを徐々に外転90度にしていくと棘下筋の下方線維の収縮が高まってきます。
⇨さらに下垂位とすると棘下筋の上方線維の収縮が高まってきます。
評価
・小円筋自身の評価
触診を行い圧痛所見と筋緊張を評価します。
そうすることで筋の攣縮を明確にします。
肩関節の屈曲と内旋位置で、伸展と外旋の等尺性収縮後に自動介助運動を行います。
その際、軽い負荷で収縮する様子が確認できます。
この運動を連続で行い筋緊張と圧痛が改善するまで実施します。
・小円筋を用いた評価
肩甲骨内側縁から上角にかけての圧痛部位を確認します。
小円筋を引っ掛けながら引き剥がすように後方へ動かします。
(または、患者の上肢を前後に降ってもらいます。)
すると疼痛部位が少なくなり肩があげやすくなります。
関連疾患
・肩甲上神経麻痺
⇨肩下垂位、90度外転位での外旋筋力は著名に低下するが、90度屈曲位での外旋は意外に保たれるという特徴があります。
・棘上筋の単独断裂例(腱板筋群の萎縮具合)
⇨棘下筋・肩甲下筋に萎縮が出現するが、小円筋には萎縮が生じにくいという報告がされています。
・小円筋の過緊張
⇨存在すると、上腕骨頭を関節窩前方に押し出そうとする力が加わりその状態が続くことで後方関節包の短縮が生じます。短縮が生じることで上腕骨頭の後方滑り運動が制限されて、肩関節のインピンジメント障害が出てきます。