筋膜とは:構成や役割について
fasciaとは
いわゆる筋膜とは、fascia(膜)の一形態に過ぎません。
fasciaは「線維性結合組織」の総称であり、
皮膚、皮下組織、筋膜、靭帯、腱、脂肪体、腹膜、髄膜、骨膜の全てが含まれます。
これらの組織は互いに癒着することがあります。
癒着が起きることで、疼痛が生じやすくなり、
組織間の滑走性が損なわれて可動域制限がおきます。
場所によって筋膜の層の違いがあります。
手や足は深筋膜が密になっており、胸や腹では深筋膜の間に筋肉が通っていたりします。
浅筋膜は皮下脂肪の間を通っています。
筋膜と筋膜の間にはヒアルロン酸が存在しており、滑走性を出しています。
fasciaの分類
fasciaの密度や規則性によって、それぞれの言い方が変わってきます。
下に図を載せておきます。
規則性がある様な筋間筋膜であれば筋の起始停止となることもできます。
筋繊維の37%は停止腱にいかずに直接深筋膜に停止する(Smeulders,2005)
と言われています。
構造
筋膜の構成要素は、
・線維芽組織
・コラーゲン、エラスチン線維
・基質(ヒアルロン酸)
・間質(水分)
で構成されています。
ヒアルロン酸
ここで、筋膜の構成要素の1つでもあるヒアルロン酸について
ヒアルロン酸の役割
・皮膚に潤いを与える
・筋や腱の潤滑油として滑走を助ける
・筋線維損傷からの回復を助ける
という役割があります。
運動生理学
運動を行うことで増加し、回復過程で吸収されます。
しかし、運動をしすぎる(過度な同じ姿勢)とヒアルロン酸が増加し、
phが低下し、酸性となってきます。
するとヒアルロン酸の粘性を増加させ、凝集化し、高密度化することがわかっています。
筋や腱の滑走を助けていたヒアルロン酸が変性すると滑走不全がおき
そうなることで機能障害、硬結が生まれます。
ちなみに、粘性増加の理由として
・overuse(過度な運動や姿勢)
・不動や廃用(一週間以上の不動はヒアルロン酸濃度を上昇させ、Okita M 2004)
・外傷などの炎症(炎症組織で増加が見られる、Cowman MK,2015)
・観血的手術(損傷した骨格筋のヒアルロン酸含有量は上昇する、Torihashi,2015)
フラクタル構造
これは水分を多く含み網目様になっている状態です。
神経や血管は膜の中を通っています。
そのため、股関節疾患でもその周りの筋膜が硬くなっていれば、痺れの症状が出ることもあります。
そのためその周りの組織をリリースしていくことが大切になっていきます。
役割
筋膜は伝達スピードが高いことが特徴としてあります。
神経系は160mphであるのに対し、筋膜は720mphと伝達スピードが早くなっています。
おおよそ4~5倍ほどの早さがあります。
facsiaの外層には知覚線維が多く存在しています。
・自由神経終末 ー痛み
・ゴルジ腱紡錘 ー伸長
・パチニ小体 ー圧感覚
・クラウゼ終末体ー冷感覚
・ルフィ二小体 ー温感覚
そのため異常感覚がおきやすい状況となっています。