小円筋:90度屈曲位での外旋で強く作用する
はじめに
この記事は、医学書籍・医学論文を参考に作成されています。
対象
・筋肉を治療対象とする専門家(理学療法士、柔道整復師、あん摩・マッサージ師、整体師)
・筋肉を学ぶ方
・障害を受けた方
機能
起始:肩甲骨後面の外側縁近位2/3
停止:上腕骨大結節の下面(inferior facet)
上部線維:大結節後縁下部に面で停止
下部線維:外科頸に線状に停止
神経:腋窩神経 C5,6
作用:肩関節の外旋・内転
骨頭の安定化(挙上位に置ける関節包の緊張を高め骨頭を支持)
90度屈曲位での外旋
後方関節包の挟み込み防止(外旋時)
特徴
・小円筋は腱板を形成する4つの筋群の一つであります
・小円筋の関節包側の線維軍は、関節包の後下方部に直接付着しています。
・走行は捻れる(停止の上部線維は起始では遠位に、下部線維は起始では近位に位置している。)
・小円筋の深層線維の機能
後方関節包の挟み込み防止、関節包の緊張を高め骨頭を支持
・上腕三頭筋は大円筋の表層を通り、小円筋の深層を通ります。
・小円筋と大円筋は真逆の作用になります。
・後方部痛発生の要因となります。
触診
肩関節90度屈曲位で外旋動作を行うことで、収縮を確認して触診を行います。
(ちなみに内旋20~30度で反復させるとわかりやすい)
⇨これを徐々に外転90度にしていくと棘下筋の下方線維の収縮が高まってきます。
⇨さらに下垂位とすると棘下筋の上方線維の収縮が高まってきます。
評価
・小円筋自身の評価
触診を行い圧痛所見と筋緊張を評価します。
そうすることで筋の攣縮を明確にします。
肩関節の屈曲と内旋位置で、伸展と外旋の等尺性収縮後に自動介助運動を行います。
その際、軽い負荷で収縮する様子が確認できます。
この運動を連続で行い筋緊張と圧痛が改善するまで実施します。
・小円筋を用いた評価
肩甲骨内側縁から上角にかけての圧痛部位を確認します。
小円筋を引っ掛けながら引き剥がすように後方へ動かします。
(または、患者の上肢を前後に降ってもらいます。)
すると疼痛部位が少なくなり肩があげやすくなります。
関連疾患
・肩甲上神経麻痺
⇨肩下垂位、90度外転位での外旋筋力は著名に低下するが、90度屈曲位での外旋は意外に保たれるという特徴があります。
・棘上筋の単独断裂例(腱板筋群の萎縮具合)
⇨棘下筋・肩甲下筋に萎縮が出現するが、小円筋には萎縮が生じにくいという報告がされています。
・小円筋の過緊張
⇨存在すると、上腕骨頭を関節窩前方に押し出そうとする力が加わりその状態が続くことで後方関節包の短縮が生じます。短縮が生じることで上腕骨頭の後方滑り運動が制限されて、肩関節のインピンジメント障害が出てきます。