内閉鎖筋:股関節の安定化筋
内閉鎖筋:股関節の安定化筋
目次:
機能
起始:閉鎖膜と閉鎖孔外周の内側面
停止:大腿骨の転子窩
神経:上殿神経 L4~S2
作用:股関節外旋
特徴
筋肉
①最大の筋
内閉鎖筋の筋の面積は外旋六筋の中でもっとも大きい筋肉です。
その内閉鎖筋の一部として上下双子筋も含まれていると考えられています。
②単関節筋
運動単位小さく、サイズの原理では先に働きます。(働かないと大きな筋肉で代償)
求心位保持
求心位保持する役割を持っています。
大腿骨頭の後方移動の制御の他に、大腿骨頭を求心位へ保持するために
非常に重要な役割を担っています。
(肩関節でいう腱板と同じ役割をしています。)
また腸腰筋と協力して、回転中心軸の形成(股関節安定化筋群)という役割も持っています。
股関節がインナーで安定することは外転筋を発揮するためには必要です。
外旋の促通を行うと外転筋力を発揮しやすい状態となります。
アナトミートレイン
ディープフロントライン(DFL)
このラインは一般的に高密度な筋膜や遅発性の持続性収縮型の筋繊維が多くなっています。
そのため中心の構造を安定させる役割があります。
内閉鎖筋は横隔膜、舌骨上筋、骨盤底筋、大内転筋、膝窩、後脛骨筋、長指屈筋などと繋がっています。
DFLの下端は長母趾屈筋や長指屈筋の腱から起始しています。
歩行時には、離床期に収縮して内側縦アーチを支えます。
触診
外旋六筋の中でも、内閉鎖筋、上下双子筋は他の筋に比べて細かく、個別に分別するのは難しいです。
梨状筋と大腿方形筋の間で触知することが可能です。
評価
股関節屈曲90度での股関節外転筋力を用いることで内閉鎖筋の筋力を評価することができます。
50-60度では小臀筋を評価することができます。
エクササイズ
低負荷外旋運動で筋活動を賦活することができます。
速筋線維を多く含むため、早い速度で外旋自動運動を行い中間位に脱力してもどすようにエクササイズします。
端座位で困難なら長座位で行います。
50回を3セットほど行います。上手にできれば臀部に重さを感じてきます。
リリース方法
①徒手でのリリース
側臥位で大転子から仙骨にかけて横断的にリリースしていきます。
②セルフリリース
ダイレクトにテニスボールなどで行います。
大転子部分に当たるよう圧迫します。直接的に伸張していきます。
関連疾患
大腿骨頸部骨折、変形性股関節
人工股関節置換術や人工骨頭置換術では、回線筋群が切り離されることがあります。
そのため術後早期では過度な股関節の屈曲、内転、内旋運動は回線筋群による支持がなく脱臼の危険性が高まります。