きくてぃブログ

〜理学療法士の日常の全て〜

呼吸不全:陥る4つの問題点

 

▼はじめに 

こんにちは。今回もたどり着いていただいてありがとうございます。

日々臨床と学習を繰り返し試行錯誤を行なっています。

今回も気づきを得てもらえたらと思っています。では!

 

信頼性の担保として、記事を書いている現在、

病院に勤めていて、臨床業務を行なっています。

論文や教科書、臨床経験をもとに記事を書いています。

 

▼呼吸不全とは!?

室内空気吸入時の動脈血酸素分圧(PaO2)が60mmHgいかになった状態を

呼吸不全と言います。

このような状態が続くと、脳や心臓などの重要臓器の組織中酸素濃度が低下して

生命の維持に危険をきたすので速やかな治療が必要です。

 

▼呼吸不全の内容

呼吸不全となってしまう理由として、次の2つが挙げられます。

低酸素血症となるガス交換障害(これは肺の中の問題)

低酸素血症となりさらに高二酸化炭素血症となる換気障害(これはポンプの障害)

この2つをお伝えします。

 

●ガス交換障害

ガス交換障害は、どれだけ換気量を増やしたとしても、

肺胞内の酸素分圧は吸入気中の酸素分圧(150mmHg)以上にはならないため

PaO2の改善はほとんど期待できません。

このような場合でも、酸素投与を行えば

肺胞内の酸素分圧を大気中の酸素分圧の数倍(約600mmHg)まで

上昇させることが可能であるため、

ガス交換障害があってもある程度低酸素血症を改善させることが可能です。

この場合に酸素療法が必要となります。

 

○拡散障害

肺胞気から赤血球までの酸素の拡散過程に何らかの障害が生じる状態です。

 

・肺胞膜の障害・肥厚:

  間質性肺炎放射線肺臓炎、薬剤性肺臓炎

・肺胞面積の減少:

  広範な無気肺、肺切除、COPD

・肺毛細血管血液量の減少:

  多発性肺血栓塞栓症、肺門部腫瘍による肺動脈の狭窄・閉塞

・血液のHb濃度の低下:

  貧血

など

 

○換気血流比不均等

肺胞換気量と血流比の均衡が崩れている状態です。

 

気道疾患、間質性肺疾患、肺胞疾患、肺循環疾患

気道肺胞系・肺血管系に以上をきたす全ての疾患です。

 

○シャント

右室から拍出された血液が、肺胞気に接触せず、酸素化されずに左心系に流入する状態です。

(静脈血が動脈血に入る)

 

・肺内血管シャント:

  肺動静脈瘻、肺血管腫

・心内右左シャント:

・肺胞内の充満:

  無気肺、肺炎

・肺胞の虚脱:

  無気肺

・肺内毛細血管の拡張:

  肝肺症候群

など

 

●換気障害

○肺胞低換気

十分なガス交換が行えるだけの肺胞換気量が得られていない状態です。

肺胞低換気は「分時換気量の低下」or「死腔換気量の増加」によって起こりますが、

特に前者の場合には換気量を増やすだけで低酸素血症は改善されます。

 

例えば、筋ジストロフィーの患者さんが、

呼吸筋力低下により低酸素血症をきたしているときに

人工呼吸器を使って換気量を増やすだけで良いです。

酸素投与を行うとCO2ナルコーシスを起こす恐れがあります。

 

肺胞低換気となる理由は、

呼吸中枢機能低下、神経・筋障害、肺・胸郭系の異常などによっても起こります。

 

・呼吸中枢機能低下:

  ベンゾジアゼピン系薬などの抗不安薬モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬による呼吸中枢の抑制

  呼吸中枢に影響する脳血管疾患

・神経・筋障害:

  重症筋無力症、筋ジストロフィーなど

・肺・胸郭系の異常:

  慢性的な肺疾患、肥満、後側弯症など

 

▼終わりに 

今回も記事を読んで下さってありがとうございました。

日々臨床で悩むこともあり、質問も頂いています。

そんな方への一助となる記事をかけたらと思っています。

ぜひ今後も楽しみしていてください!

 

参考文献:

医学書院:系統看護学講座 専門分野Ⅱ 成人看護学

松尾善美編:内部障害理学療法学     

f:id:chikugiyuki:20190501121045j:plain