多裂筋の機能不全改善:PFLテストを用いて
はじめに
この記事は、医学書籍・医学論文を参考に作成されています。
対象
・筋肉を治療対象とする専門家(理学療法士、柔道整復師、あん摩・マッサージ師、整体師)
・筋肉を学ぶ方
・障害を受けた方
機能
起始:
最長筋の浅部の腱
腰椎の乳様突起
全胸椎の横突起 etc...
停止:
各起始部から2~4つ上に存在する椎骨の棘突起
神経:
脊髄神経後枝の内側枝
作用:
両側収縮:体幹部伸展(後屈)
片側収縮:同側への側屈、反対側への回旋
特徴
・多裂筋は筋束が分節的に配置されていることから、
背部ローカル筋の中でも分節的安定性制御に重要
・深層線維は椎間関節の関節包に付着することで運動中、
関節内に挟み込まれるのを防ぐ役割があります。
・脊椎運動時に椎間関節の滑走性を調整することで、
関節にかかる負荷やストレスをコントロールする役割があります。
・腰椎前弯をコントロールし、力を均等に分散させることで
脊椎安定性に寄与しています。
触診
第2腰椎、PSIS2つが作り出す三角形の付近
走行をイメージして触診を行う。
収縮をしてもらうことで確認します。
この時に腹臥位では股関節伸展をしてもらい骨盤前傾させることで多裂筋の収縮を誘導します。
腹臥位で体幹伸展を行うと最長筋が優位に働くため、股関節伸展を行います。
評価
PFLテスト(後部腰椎可動性テスト)
腰椎の過前彎などにより、椎間関節性腰痛が生じている場合、
背部の筋群(多裂筋など)は攣縮が生じその結果、
腰椎が後彎しづらい構造になっている可能性があります。
このテスト、正常であれば股関節を屈曲していくと大腿部が胸につきます。
ただ、ヒトの純粋な股関節屈曲は約90°で、
そこからは骨盤後傾が加わるというものでしたが、
本来そのためには、腰椎の後彎可動域が担保されてなければなりません。
腰椎が過前彎している状態では骨盤が後傾しないので結果、
理論上は股関節の屈曲可動域も減少してしまうため、
PFLテストを行うと大腿部が胸につかない状態(陽性判定)になります。
立位での体幹前屈・後屈
エクササイズ
多裂筋の賦活化方法
hand-knee
右上肢・左下肢挙上時には左多裂筋の活動が高まります。
この時腹横筋の活動(draw-in)を意識して行います。
代償が出ない様に行います。
関連内容
・椎間板ヘルニアに対するLove法では経過において、
長期における多裂筋の浮腫状態がMRIで観察される場合があります。
この場合腰痛を訴える場合があります。
・仙腸関節の安定化に関わる多裂筋の持続的筋攣縮例では、
背側仙腸靭帯の関節的緊張の増加によって、
仙腸関節ストレステストが陽性となる場合があります。
・椎間関節由来の腰痛では、脊髄神経後枝内側枝を介した反射により、
同レベルの多裂筋に攣縮が生じます