脾梗塞:左上腹部の腫れや痛み、腹部膨満感が出ていたら可能性も!?
脾臓とは
脾臓とは左上腹部、横隔膜の直下に位置し
正常ではその重量はおよそ100~130 gであり左肋骨弓に隠れていて触知できません。
この脾臓がさまざまな原因により腫大し
正常の約3倍以上(300 g以上)になると左肋骨弓下に触知するようになります。
正常の約8倍以上 (900 g以上)になると臍下に達し巨脾(splenomegaly)とよばれます。
構造
脾臓とは赤脾髄と白脾髄という組織で成り立っています。
赤脾髄
赤血球が詰まった脾洞と網内系細胞で覆われた脾索からなるのが赤脾髄です。
赤脾髄は血液をろ過することにより、不要な物質を取り除きます。
赤脾髄には、細菌、真菌、ウイルスなどの微生物を消化する食細胞という白血球が含まれています。
また、赤脾髄は赤血球の状態を監視し、異常があったり、古くなったり、傷ついたりして正常に機能しなくなった赤血球を破壊します。
さらに、赤脾髄には、
特に白血球や血小板(血液の凝固に必要な細胞に似た粒子)といった様々な血液成分を貯蔵する働きもあります。
しかし、これらの血液成分を放出することは、赤脾髄の主要な役割ではありません。
白脾髄
脾柱動脈から分かれた中心動脈のまわりを取り囲みTリンパ球からなる動脈周囲リンパ球鞘とBリンパ球の集団で構成される胚中心でできているのが白脾髄です。
感染に対する防御を担う器官系(免疫系)の一部です。
リンパ球と呼ばれる白血球をつくっており、
そのリンパ球は抗体(異物による侵入から守る特殊なタンパク質)をつくります。
役割
脾臓の役割は次のようなものがあります。
①老化した赤血球あるいは欠陥のある赤血球(球状赤血球や鎌状赤血球など)を取り除く
②抗体の結合した細菌や血球を貪食することにより取り除く
③抗体を産生する
脾の機能の1つとして,
循環血小板および循環好中球を貯蔵しており,
これらは出血や感染症などに際して,一気に放出されます。
しかし、このようなことがあるにもかかわらず、
脾臓は生存に欠かせない臓器ではありません。
脾臓が失われても、
他の臓器(主に肝臓)が感染に対する防御能力を高めることによって、
また、赤血球が異常になったり、寿命をすぎていたり、
傷ついたりしていないか監視し、
そのような赤血球があれば排除することによって、その機能を補います。
原因
脾梗塞になる原因として次のようなものが挙げられます。
②細菌、ウイルス、寄生虫の感染による炎症、関節リウマチなどの膠原病に反応した脾臓の細胞の増殖
③脾臓で血球が大量に破壊される溶血性貧血や特発性血小板減少性紫斑病によるもの
特発性門脈圧亢進症といった病気にともなっておこったときには、腫れ方が大きくなります。
症状
症状としては次のようなものが挙げられます。
脾腫があると
左上腹部の腫れや痛み
膨満感、
呼吸困難、吐き気、嘔吐、便秘などが現われてきますが、
腫れの程度や原因によって症状はさまざまです。
脾臓が腫れて巨大になったときには、脾臓への血流が障害されます。
そのため、脾梗塞という脾臓の組織が壊死におちいった状態になりますが、
このときには、左上腹部に激しい痛みがおこります。