股関節疾患の可動性障害についての一つの案
はじめに
こんにちは。今回もたどり着いていただいてありがとうございます。
日々臨床と学習を繰り返し試行錯誤を行なっています。
何に悩んでいるのか?
そんな中股関節ってよくわからないなと思う場面がありました。
理由として、
・体表からわかりにくい
・股関節自体を出しにくい(服があるため)
・いろんな組織がたくさんある
・座位ではわかりにくい
・立位姿勢では上からも下からも影響受ける
・曲がらなくて困る
・伸びなくて困る
ということがありました。
同じようなことを悩んでる方がいると思いましたので、まとめて見ました。
なぜ私が伝えるのか?何を元に伝えるのか?
毎日病院でリハビリの臨床を行い、臨床と学習を繰り返しています。
その中で疑問点が生じてくるのでそれをお伝えしています。
私が伝える元となるのは、書籍・セミナー・実体験・他者の意見などからです。
実感がわかない書籍やセミナーを少し臨床経験をミックスして伝えられたらと考えています。
目次:
股関節疾患の治療(可動性改善)
股関節疾患の治療(可動性改善)には以下のようなポイントが必要になってきます。
・関節唇、関節包
・股関節の靭帯
・股関節周囲筋肉
・隣接関節の可動性
・股関節周囲の筋緊張
これらについて解説します。
・股関節周囲筋肉による可動性障害
筋肉のストレッチング
可動域制限の最終端で関節を固定し、筋腹に直接伸張を行うとストレッチを行いやすくなります。
外転可動域制限に対して、内転筋をストレッチします。この時ハムストリングスが短縮している場合は屈曲位にすることで内側ハムが弛緩する為、屈曲位で外転可動域拡大を行います。
・関節唇、関節包による可動性障害(癒着や短縮)
股関節後方の関節包の癒着や短縮がある場合、股関節内旋制限が認めらることが多くなります。屈曲・外転・内旋で伸張可能です。
股関節前方の関節包の癒着や短縮がある場合、骨盤後傾による腹筋群の活動や股関節伸展を促すことで伸張することが可能です。外転と内旋を加えることでさらに伸張可能です。
ちなみに
「後方関節包を緩めたい」という場合
前述したように股関節内旋制限が認められることがあります。
後方軟部組織が硬いと骨頭が前に押し出されてしまいます。
前方インピンジメントを起きたり、股関節自体が外旋の方向に動いてしまったりします。
臀筋のストレッチと合わせてやることは重要です。
「背臥位の股関節90度屈曲位で、骨頭の方に圧迫を加えながら屈伸(外転外旋)を繰り返す。」
・筋緊張の増加による可動性障害
まず自動運動や自動介助運動を実施してもらい筋緊張がある程度消失してからストレッチを行うことで可動域の拡大を図ります。
関節包が緩む肢位(loose packed position):不動の肢位、股関節屈曲30度、外転30度、軽度外旋
でリラクセーションを行うことも有効です。
・股関節屈曲の可動性障害
屈曲時に、鼠蹊部痛と前方のつまる感じがある場合があります。
そんな時は、「大腿骨を下方に押しながら屈曲可動性を改善していく」が重要です。
また大腿直筋、縫工筋、大腿筋膜張筋の筋緊張を触診してリラクゼーションやストレッチを行うことが効果的です。
日常生活動作
①足指の爪切り
股関節の手術をした場合、靴下着脱動作や足指の爪切りの動作が困難になる場合が多いです。
「THAの術後の足指の爪切りについては4人に1人ができない」と報告されています。
爪切りが自立できるかどうかを判断するにあたり、股関節屈曲角度は重要な指標です。カットオフ値は80度です。
②正座
退院までに正座獲得を目指す場合、大腿直筋や腸腰筋の短縮を防ぐ必要があります。
そのため、術後では伏臥位からはじめ、踵が臀部につくほどになったら実際の正座の動作を行います。
その時正座が難しいようであれば臀部の下に枕などを用いて練習していくと進みやすいです。
終わりに
股関節に悩みを持っている方は多いと思います。
今回は可動性障害の一部をお伝えしました。
まだまだ足りない部分はあると思いますので、今後も付け加えて行こうかと考えております。
ぜひ臨床に生かしてみてください。