きくてぃブログ

〜理学療法士の日常の全て〜

歩行の立脚期のメカニズムを学ぶ

こんにちは。いかがおすごしでしょうか。

動作分析って難しいなと改めて感じます。感じている方も多いかと思います。

特に次のような悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?

悩み

・歩行は早い

・すぐ終わってしまう

・何をみたらいいのかわからない

・評価と関連づけることができない

・よくわからない

なぜ私が伝えるのか?

現在病院で理学療法士として働いています。

毎日歩行観察し分析し、治療を行なっています。

多くの方を担当し試行錯誤を繰り返してきました。

その経過をお伝えできるかと思います。

 

目次:

 

 では、

立脚期も遊脚期もみていたらよくわからなくなります。

そのため立脚期に絞って見るのが初めはポイントです。

 

ではなぜ立脚期を着目するのか?

それは「荷重ストレスが生じるのは立脚期」だからです。

立脚期を3期に分け、そこから矢状面と前額面で分けました。

 

立脚初期

矢状面

荷重応答に備える関節の配列

下肢は踵接地後の急激な荷重に対応するため、遊脚の終わりの時期に準備を始めます。

以下の2つがあります。

仙腸関節の安定

同側の腸骨は仙骨に対して後方に回旋し、踵接地に向けて仙結節靭帯と骨間靭帯の張力を高めて仙腸関節を締め付けます

踵接地直前には、同側のハムストリングスが活動し仙結節靭帯をより強固にして仙腸関節を安定化させます

足部の安定

足関節は底背屈0度に配列されることで「締まりの位置」となり安定します。

また安定化には後脛骨筋と長腓骨筋の共同作用により保証され、

後脛骨筋は内側縦アーチを長腓骨筋は外側縦アーチ(立方骨)を支えます。 

※ポイント筋肉 

仙結節靭帯、骨間靭帯、仙腸関節、後脛骨筋、長腓骨筋(クロスサポートメカニズム)

 

衝撃吸収のメカニズム

・第一段階

足関節の衝撃吸収機構

底背屈0度から5度底屈します

前脛骨筋の遠心性収縮により衝撃が吸収されます。

 

・第二段階

膝関節の衝撃吸収機構

踵接地時の膝関節は伸展0度に配列されています。

衝撃吸収のための前脛骨筋により下腿を前方へ回転させて膝関節を屈曲させます。

この時大腿四頭筋が遠心性収縮し、膝関節の屈曲にブレーキをかけ衝撃を吸収します。

 

・第三段階

股関節の衝撃吸収機構

踵接地後に骨盤は約5度遊脚側へ側方傾斜します。

この傾斜は股関節外転筋(中臀筋)の遠心性収縮によって制動されます。

 

※ポイント 

前脛骨筋、大腿四頭筋、中臀筋

 

前額面

大臀筋上部線維が骨盤の安定性に関与します。 

立脚中期

矢状面

膝関節の動的安定化

急激な荷重負荷に対して動的な安定化が図れないといけません。

特に膝関節は重要となってきます。

膝関節は「締まりの位置」である伸展位から屈曲していきます。

そのため非常に不安定な状況に置かれます。

 

膝関節の屈曲位での動的安定化には大臀筋によるモーメントが重要です。

股関節伸展モーメントを発生させることにより、大腿骨遠位部を脛骨関節面上に押し付ける作用をもち、

結果的に膝関節を安定させます。

 

また大臀筋は股関節外旋作用があります。

大腿骨を脛骨上で外旋させるのに役立ちます。

その一方で、脛骨は踵接地から中期にかけて足関節底屈・外反の動きに連動して内旋します。

その結果膝関節は相対的に内旋位に置かれます。

膝関節の内旋はACLとPCLの交差を強め、膝関節を安定させます。

 

※ポイント 

大臀筋、膝関節の相対的内旋

 

重心の上昇

荷重応答期における膝関節は20度から30度に屈曲した状態で重心はもっとも低い位置になります。

重心が上方へ移動するためには膝関節が伸展する必要があります。

そのためには股関節と足関節の協調的運動が必要になります。

足関節ではヒラメ筋の遠心性収縮により、脛骨の前方回転にブレーキがかかります。

股関節では大臀筋と大内転筋の活動により、大腿骨が伸展する方向に回転運動が起こります。

この時、脛骨よりも大腿骨の回転速度が早ければ、膝関節は伸展することになります。

 

※ポイント 

ヒラメ筋、大臀筋、大内転筋

 

前額面

中臀筋が作用します。

立脚後期

矢状面

遊脚に移るためのメカニズム

股関節の機能

立脚中期を境に、股関節では腸腰筋が遠心性収縮を行い、重心の前方移動にブレーキをかけ始めます。

股関節はステップ長を確保するために伸展可動域の大部分を使います。

すると腸腰筋は引き延ばされたバネのようにエネルギーを蓄えます。

このエネルギーが求心性収縮を行うことで遊脚となります。

足関節の機能

腓腹筋は立脚後期に重心の回転軌道を上方へ修正するために大きな筋出力で踵離地を引き起こします。

これにより足部が下腿を前方に押し出して膝関節の屈曲を補助します。

また腓腹筋の起始は大腿骨に付着するため膝関節を屈曲させ遊脚の補助を行います。

 

※ポイント 

腸腰筋腓腹筋

 

前額面

小臀筋と大腿筋膜張筋が作用します。

 

大内転筋は立脚期全部に関して、臀筋群の側方安定化が図られている場合に、膝関節が骨盤から外側へ変位することを制動します。

 

終わりに

動作分析を行うと言っても、何からしたらいいのかわからない方もいるかと思います。

そんな時、歩行の立脚期のメカニズムが頭に入っているだけでも着目点がわかり分析の精度をあげることができます。

いつのタイミングでどんな収縮が出るのか。出ないのであれば何が問題なのか。

考える材料となるでしょう。

ぜひ参考にしてみてください。

 

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