きくてぃブログ

〜理学療法士の日常の全て〜

ラポール・信頼関係の作り方(学生から)

 

目次  

はじめに

理学療法士として病院働いているハムたろうです。

新卒の皆様、国家試験合格おめでとうございます。

晴れて新人セラピストとなれました。

なったはいいけど評価も治療もどうしていいかわからないという方は多いでしょう。

 

そんな時リハビリを提供するにあたり、信頼関係は前提条件として大切になってきます。

「患者さんが嫌がっている感じがする」

「新人に疲れた患者さんはなんだかかわいそう」

 

また既卒で働いている方は

「評価を行なっているけど反応があまり良くない」

「治ってきているのに満足度が低そう」

「楽しそうでない」

 

のようなことを経験したことはありませんか?

そういった場合は信頼関係が構築されていない場合があります。

 

今回は信頼関係構築のために何をしてくべきなのかをお伝えします。

お悩みの方は必ずご覧ください。

 

なぜ私が伝えるのか?

理学療法士として働き始めて、たくさんの患者さんとリハビリという形で時間を共有しました。

その中でたくさんの褒め言葉をいただきました。

少し紹介します。

 

「先生にあえてよかったよ」

「やっぱりやってもらうとその後は違うね」

「入院する前より調子いいよ」

「先生のおかげでもう少し生きる気持ちが湧いてきました」

「ありがとう」

 

数え切れません。ありがたいです。

 

技術はまだまだ未熟であるかもしれませんが、それでも満足して帰っていただけた方は多いと思っています。

 

このように、手紙や言葉をもらうのは、

期待以上の満足感を得ていただけたから

そのためにはラポール形成は絶対条件だと考えています。

 

 

具体的方法

では、具体的な方法をお伝えします。

信頼関係構築するためには、大きく分けて感情的と医療的な所に分かれると考えています。

感情的な所

笑顔

怪我や病気をしている患者さんにとってむすっとした顔でリハビリをしている人と、笑顔でしている人では後者の方が印象がいいでしょう。

印象を良くすることで、リハビリをすることが楽しいにつながっていくこともあります。

 

また笑顔で接することは、余裕がある印象を与えます。

未熟で自信がない人は自信があるように振る舞うためにも笑顔でいることは大事です。

自信がある人と自信があるように振舞っている人は患者さんにとってなかなか見分けつけられません。

そして、自信があるように振舞っていることで自信が徐々に付いてきます。

不安を与えず印象を良くし楽しいリハビリを提供するという意味で、笑顔は大切でしょう。

 

 

傾聴

よく忙しいからといって、こちらのいうことばかりを伝える医療者がいます。

業務を遂行するという点では有能なのでしょう。

しかしそれは果たして患者さんのためになっているのでしょうか?

原点に戻ると、わかると思います。

そのためにも患者さんの話は遮らない。傾聴する姿勢は大切です。

聞いてもらうだけで安心感が出てきます。

不安を誰かに伝えたいだけかもしれません。

毎日出なくても、話をよく聞くことは大切です。

(稀に多弁な方もいるのでその辺はしっかりとわけて。)

 

 

すぐには触らない

「こんにちは。よろしくお願いします。では。」

で身体に触れられたら、不快でしかないです。

「え???」

ってなります。

人にはパーソナルスペースが存在します。

近づき過ぎない距離感で、話始めることが大切です。

まずは触ることよりも問診をしっかりしましょう。

問診を終えてから、徐々に触診に移ることが大事です。

突然の人からの干渉は拒否反応が出る場合があります。

 

褒める

叱責されることよりも褒められた方が気持ちいいと思います。

リハビリテーションではこちらが求めていることができない方がたくさんいらっしゃいます。

そういう時、

「なんでやってくれないんだろう。」

「なんでわからないんだよ。もう。」

とイライラした感情が芽生えてくることがあります。

それは伝える方法が下手であったり、しっかり評価を行えていなかったりによるものですが、

そんな時患者にあたるセラピストを見かけます。

ダメです。

要求したことができないのは、こちらのミスです。伝え方が悪いのです。

悪いところばかりに目がいきがちです。

 

ほんの少しでも昨日より今日できていたことがあれば褒める。

進歩があれば褒める。

現状維持できたことに褒める。

昨日より今日の靴下が可愛いなら褒める

 

なんでもいいんです。過剰なほどに褒めるくらいが相手にしっかり伝わります。

伝わると「居心地が良い」に変わっていきます。

 

私生活が楽しいことが大事

私生活で不満が溜まっていると、やはり言動に現れます。

それを人間は察知します。なんとなくわかります。

そんな方にリハビリをしてもらいたいと思うでしょうか?

 

できるのであれば、人生楽しんでそうな人にやってもらいたいと思います。

そんな人と会話しているだけでワクワクしてきます。

リハビリが楽しいとなるかもしれません。

 

残念そうな顔しない

経験が浅い人に限ってこういうことが起こります。

自分の求めていたものよりもできなかった時

残念な顔をします。

「なんでできなかったんだろう。わたしだめかな。」

そう思ったりします。

でもそのできなかったという人は目の前にいます。

その後の人生があります。

不安を煽ってしまうようなことはやめましょう。

相互にとってメリットは何もありません。

 

 

医療的な所

希望を聞く

リハビリで何をしてもらいたいか明確にしておく必要があります。

その希望を達成することが一つの目標設定の基準になります。

希望を叶えるために、毎日のリハビリを行なっていくことが大切です。

それが患者さんのモチベーションに繋がります。

また大変なのにやらなければいけない理由にもなります。

希望を聞かずにやるリハビリはリハビリではないでしょう。

それはただの自己満足です。

 

歩ければOK!移乗できればOK!痛くなければOK!

患者さんが求めているのは違っていたりします。

痛くてもいいから動きたい人もいます。

歩けなくていいから安全に移乗したい人もいます。

 

現実と乖離している場合があり、患者の希望が目標設定の全てではありません。

しかし聞かなければ修正はできません。

 

今一度、何を求めているのか?そしてそれが医療的にも矛盾はしないのかを合わせて考えていく必要があります。

 

 

「今日何するか」「リハビリは何か」を言う

意外とやっていない人が多いのがこれです

今日の流れを説明することです。

「こんにちは。今日の体調はいかがですか?」

のような、フレーズから始まってリハビリを開始することが多いと思います。

しかし、中には「今日何するんだろう」と不安できてる方もいらっしゃいます。

そんな方に、まずは。次は。その次は。

と、いろんなことを行なっていくと一つのことに集中できなくなります。

親切ではありません。

途中の評価でやること変えることもあると思いますが、

初めの段階で大体これを確認・実施すると決まっていれば

それを伝えることが大切です。

信頼関係の構築に直結します。

 

また今日何するか?と同様に大事なことが

「リハビリはどんなことをするのか?」

を伝えることです。

怪我や病気をされた方は不安でいっぱいです。

大きな流れは医者から説明されているかもしれませんが、

細かく医療的にどう進んでいきそうかは説明されていないことがほとんどです。

 

その大枠を伝えることで、安心してもらうことができます。

今の自分自身の状態がどんな状況か知ってもらうことができます。

そこまで説明できると、「とても気遣ってくれる親切な先生」に変わってくるので信頼関係を構築しやすくなります。

 

 

即時効果が出ることを行う

医療者である以上、治療の効果を出す必要があります。

その治療効果は慢性的なものとすぐ出る即時効果があります。

リハビリは長い時間患者さんと関わります。

信頼関係ができていないと、より良い慢性的な効果は出にくくなる場合があります。

そのため、介入初めの何回かの時に即時効果で身体の変化を実感してもらうことが大切です。

即時効果を出せると「できる人」と印象つけることができます。

今後の治療介入がとてもしやすくなります。

1つ即時効果が出る何かを持っておくと信頼関係構築の便利な手段になることでしょう。

終わりに

技術がなくても、満足してもらうことは可能です。

全ての方が卓越した技術を求めているわけではありません。

楽しい時間を求めていたり。

寄り添ってくれることを求めていたり。

様々です。

だから信頼関係は必須なのです。

「人」を対象にしている職だからこそ大切になってきます。

信頼関係ができた上で治療技術が上がってくると相乗効果で大きな成果を出すことは可能です。

 

信頼関係構築は、治療の即時効果が出るものではありません。

日頃からの積み重ねが大切になってきます。

ぜひ明日から、ラポールを意識してリハビリを提供みてください。