きくてぃブログ

〜理学療法士の日常の全て〜

【骨折治癒・癒合の過程】

【骨折治癒・癒合の過程】

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目次

 

 

骨癒合とは?

 

1次骨癒合

仮骨を形成せずに骨折部が治癒する治癒形式

両骨折端が正しく解剖学的に整復され転位がなく強固に固定された時のみ生じる

 

2次骨癒合

仮骨を形成して融合する治癒形式

骨折部に生じた血腫内に肉芽が形成されやがて仮骨によって再骨折端が連結された後

局所の力学的要請に応じた強度を有する骨として再造形されていく

骨折端に多少でも血腫が介在する隙間がある場合は常にこの過程を経て骨折が融合する

 

一般的に多くの骨折に対し、ギブス固定や髄内釘固定など外固定による治療では

このに2次骨癒合により治癒していく

 

治癒過程について

炎症期

(1~2週間続く)

骨折によって骨膜骨皮質血管が損傷される損傷された組織からの出血によって

血腫が骨折間隙に満たされ炎症性反応が誘発される

 

血腫内には多くのサイトカインが含まれており、様々な炎症細胞によって修復をしていく

骨折部から数 mm 以内の骨細胞は死滅するので、破骨細胞などが壊死した組織を吸収し

X 線上では壊死組織がなくなっていくので骨折線が鮮明になっていく

 

 

修復期

軟性仮骨形成期

(数日~7週)

間葉系幹細胞が出現し軟骨細胞や骨芽細胞への分化が始まる

骨折部の血腫から軟骨芽細胞や線維芽細胞が浸潤し肉芽組織を形成する

骨膜を中心とした骨折部周辺組織に由来する間葉系幹細胞が遊走し軟骨が形成される(軟骨性骨化)

 

骨膜下に形成された仮骨は肉芽組織にミネラルが沈着することで骨が形成されていく(膜性骨下)

 

この時期の仮骨は幼若な線維性骨であるために、トルクや応力に対して耐えられず強度は十分ではない

この頃よりうっすらレントゲンでも見えるようになる

 

硬性仮骨形成期

(6~8週間)

肉芽組織内に新生血管が侵入し線維芽細胞により

線維網が形成され骨折断端が互いに連結されてくる

この肉芽組織は線維性仮骨と呼ばれている。

 

線維性仮骨の中に侵入してくる血管網によって骨膜由来の軟骨芽細胞や骨芽細胞が増殖し

軟性仮骨の石灰化が生じるよって線維骨からの硬性仮骨になり力学的に安定してくる

 

モデリング

(数ヶ月から数年)

破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成を繰り返す

皮質骨と骨髄腔が形成されていく

仮骨の量は骨折部の骨強度が回復するにつれ小さくなり正常な骨の構造に修復されていく

 

骨癒合の条件

予後を左右する因子は骨折の状況、型、年齢などに影響される

また骨内血行の乏しい部位の骨折では血腫と軟性骨化が不十分で治癒が遅延する

 

骨折部位は不動でなければならないか肋骨と鎖骨は多少動いても良い

 

また骨癒合は院長応力がなく垂直方向に働く適切な圧縮力が必要であり

その反面骨折に働くせん断力屈曲力捻転力はご都合を障害する

骨癒合の判断は

・動揺の有無

・腫脹の有無

・レントゲン像による骨形成の状態

・限局性の圧痛

(圧痛:骨に分布する骨髄神経や骨膜神経が骨折の際に損傷されるか

骨折部位に存在している神経が損傷されたためと考えられる)

 

偽関節

骨折の治癒過程が止まって過剰可動性を示す場合である

骨折端は丸みを帯びたり萎縮したり骨髄腔は骨前に閉鎖される

骨折間隙は線維性の瘢痕組織で充満され過剰可動性を認める

不十分な固定や感染、骨欠損などの原因が多い

 

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