きくてぃブログ

〜理学療法士の日常の全て〜

練習の順番(印象・レベルを下げる)

理学療法を実施する上で重要となるのが「練習する順番」である。

目次

 

動作上の異常な視点がある

理学療法を行なっていく際に、初めは動作の観察をするでしょう。

動作の観察を行う点でまずみていくのは

「なんとなくどういう印象か?」

「動作上、正常とは異なるところがありそうか?」

をみていくことは大切なことです。

なぜ起こるのか

次に「なんとなくどういう印象か?」

から疾患情報や既往などから、

「どこにどんなストレスがかかっているのか」

をみていきます。

動作上ストレスがかかっていて、正常とは異なる動作が見えた場合、

「動作ではなく静止ではどうなのだろう?」

と考えていきます。

それより前の時点は?

動作上見えてきたところが、

「静止でも同様に見えているのか?」

をみていきます。

静止でも見えてきた場合はもっとレベルを下げてみていきます。

もっとレベルを下げてみていく?

歩行⇨フェーズ毎⇨立位⇨膝立ち位⇨座位⇨臥位

とレベルを下げて現象が起こっているのかをみていきます。

立位では起こっていて

座位では起こっていない場合

「どんなストレスがかかっているから現象が起こっているのか」

を考えていきます。

 

こうして起こっている現象から深掘りしていくことで、原因を突き止めていきます。

広背筋:胸腰筋膜の緊張をあげる

広背筋 c6-8胸背神経

総論

胸腰部の背側には胸腰筋膜という線維性の筋膜がある

胸腰筋膜は最長筋と腸肋筋の筋膜であり、それらを取り囲むように浅葉と深葉の2葉に分かれる。

浅葉: 上部 広背筋や下後鋸筋、 下部 大臀筋が付着

深葉: 内腹斜筋、腹横筋

これらに囲まれている多裂筋、最長筋と腸肋筋が協調して働き、

胸腰筋膜の緊張をあげることが重要。

 

広背筋と大円筋は停止に向かうにつれて合一し、

両筋肉が合わさる手前には2つの筋間には広背筋腱下包が存在している。

 

別称:

 松葉杖の筋(crutch muscle)

 木こりの筋(wood chopping muscle)

 

腋窩後方の軟部組織は、広背筋と大円筋で形成されています。

 

アナトミートレイン:

BFL(バック・ファンクショナル・ライン)

 広背筋から腰仙連結を通して、

 対側の仙骨筋膜、仙骨大臀筋、大腿骨体、外側広筋へと繋がる。

SFAL(スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン)

 大胸筋や広背筋、上肢屈筋は硬くなりやすい筋肉

 ストレッチで改善する必要がある。

同側FL(ファンクショナル・ライン)

 体幹を安定させる

 

機能

肩関節伸展・内旋・内転

上肢を固定した状態では骨盤の挙上

 

働かないことでのデメリット

広背筋挫傷:広背筋の最上方線維が肩甲骨の下角部で引っかかり、摩擦ストレスを受ける。

広背筋症候群

:広背筋の攣縮により肩甲骨の外転や肩関節の外転・外旋が制限され、肘下がりなど投球動作に支障をきたすもの。rotator interval損傷やインピンジメントなどの虹的障害を惹起する可能性

 

肩甲胸郭関節の安定性低

僧帽筋中部・下部の筋力低下が伴う頻度が多く、伴っていると前鋸筋とのforce couple機構が破綻し、過剰な肩甲骨の外転や早期での上方回旋がしょうじ、広背筋最上方線維への摩擦ストレスが増大する

 

脊髄損傷:脊髄損傷例が自立するためには、プッシュアップは最も重要かつ獲得されるべき動作の1つ。

 

短縮しやすい筋肉

:短縮すると肩関節屈曲の制限や肩関節屈曲時の過剰な腰椎伸展が伴う。

レーニング方法

伸張方法:両ひじを体の正面でつけ、上方へ上げる

「糖尿病にはなぜ運動が必要なのか」(動画あり)

本日私は「糖尿病にはなぜ運動が必要なのか」ということについてお話しいたします。

目次

 

www.youtube.com

なぜ私から聞くべきなのか?

入院患者さんの糖尿病運動指導を実際に行なっています。

指導を行なっているので、実体験としてお伝えでき、

実際に病院で行なっている指導の内容をお伝えすることができると思います。

 

糖尿病に運動がいいというのは聞いたことがあるけど、

どういうことをすればいいのかわからない

という悩みを持った方がいれば必ずご覧ください。

 

そもそも糖尿病は?

現在「5人に一人は糖尿病である。

というほど罹患している人の割合の多い病気となりました。

 

その糖尿病ですが、

糖尿病は以下のように定義されています。

インスリン作用の不足に基づく慢性高血糖症状を主徴とする代謝疾患群

 

糖尿病で大切なインスリンの効果を下図に載せておきます。

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インスリン作用不足

インスリンの作用が不足してくる原因として2つあります。

・分泌障害

 インスリン出しすぎによる、膵臓の疲弊が起こります。

インスリン抵抗性の悪化

 インスリンの効きが悪くなります。

 本来の貯蔵スペース以外に糖が溶け込んでしまうことによりインスリンが力を発揮出せない状態です。

 脂肪肝や脂肪筋などが原因のこともあります。

 

運動の効果

薬物療法・食事療法・運動療法が糖尿病治療の3本柱となっています。

その運動療法の効果として以下のものがあります。

 

・血糖値を下げる効果(急性・慢性)

・体重を減らす効果

・心臓や肺の働きを強化する効果

・血圧を下げる効果

インスリンの効き目を良くすることができる

   (下肢筋力とインスリン抵抗性には負の相関がある。)

・バランス能力を改善することは転倒の予防につながる。

   筋力と転倒には相関がない。バランス能力と転倒は相関がある。

   (握力と片足立位・過去1年の転倒歴)

・予後が良くなる、QOLが良い

 

など他にも多くの効果が言われています。

筋力やバランスと関連することから、最近では糖尿病は運動器疾患であるとも言われています。

また様々な病気の出発点は肥満であることから、体重を減らすこと自体が様々な病気の予防につながるとも言われています。(メタボリックドミノ

 

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どういう運動をすればいいのか?

そもそも運動はどういうイメージ?

皆さんはどういうイメージを持たれているでしょうか?

きつい?激しい?疲れないとだめ?

全くそんなことはありません。

まずはベッドから離れるだけでも1ステップクリアです。

「動かない」ことをまずは改善していきましょう。

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どういう運動をすればいいの?

様々な良い運動はあります。

自分ができそうな、続けられそうな運動を選ぶことが良いでしょう。

一例を紹介します。

ウォーキング

踵上げ

スクワット

お尻上げ(ブリッジ)

SLR 10回×3セット

立ったまま腕立て 

どれだけすればいいの?

目標値をご紹介します。

しかしこれに達しないから効果がないというわけではありません。

「運動を1分でもする」ということは「運動を全くしない」より100%良いです。

 

120分以上(筋肉への糖の取り込みは運動開始後10分で有意に上昇)

・1週間150分以上実施する(1日約21分計算)

有酸素運動レジスタンス運動を組み合わせる

・2~3日に1回は最低でも実施する。

 

どのくらいの強さですればいいの?

運動強度が強すぎるとかえって血糖値が上がってしまいます。

アドレナリンなどの作用によるものです。

そのため「きつい」「楽」のちょうど間くらいの強さでするのが良いでしょう。

人と話しながらできる範囲の強さです。

 

運動をするときの言い訳

運動の効果はご紹介した通りです。

しかし運動がいいとわかっていてもできないのが人間です。

その運動のできない理由を挙げてみます。

 

運動する時間がない

仕事が忙しく時間がない方。

しかし論文で報告がありました。

「細切れ運動でも血糖値は改善する。」

30分を1日一回より100秒を一日18回の方が良い血糖値低下効果が出た。

トイレに行った後、テレビを見てる時、朝起きた後など細切れ時間は多くあると思います。

これまで運動をしたことがない

運動に自信がないことで運動しないという方。

そんな方は

「運動をしたことがない」

要するに今まで「効果的な治療の1つを実施していなかった」

これはチャンス!だと考えています。

腰や膝が痛い

運動をするとどこかしらが痛むから億劫になるという方。

外出も控え、動かないことを選んでしまいがちです。

しかしそれこそ痛みを悪化させる原因ともなってしまいます。

腰痛に関しては欧米の腰痛治療ガイドラインにおいて運動療法が有効である」という明確なエビデンスが報告されています。 

 

痛みが出ない運動。

歩くのが大変なら、座って。

座ってが大変なら寝て。

そうして行なってみてください。 

体力に自信がない

仕事で疲れてきて、また運動をしなければいけないのかという方。

仕事が肉体労働でしんどければ、まずはストレッチから

体が楽になる感覚を覚えてもらうことが大切です。

 

また、睡眠不足であれば

就寝3時間前に有酸素運動を習慣化させると解消に繋がります。

 

まずやってみてください。

運動をやらない理由はありません。

運動の効果は誰しもが頭ではわかっているけれども、実践できないのが現状です。

ぜひ少しでも挑戦してみて、そのトライを共有しましょう!

少しの実践が大きな効果を生み出します!

 

人生終わったというどん底から病前と同じ時間軸に近く戻すことができる

患者さんの退院が決まる

それも担当患者さんの4人が同じ日に

その方々の仲も良いらしい

担当患者さん同士で私の話題をあげてくれているらしい。

 

そういうことを聞くだけでほっこりする。

 

1日に数えきれないほどの「ありがとう」をもらう。

この仕事は素敵だなと感じる

 

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現状のリハビリでは、1対1でしかリハビリを提供できない

いろんな方にそう思ってもらいたい

または多くの方をリハビリで救える場合があるのだなと実感できる。

人生終わったというどん底から病前と同じ時間軸に近く戻すことができる

 

自分がそうできたから、きっとそうする方法はある

そういうセラピストが増えてほしい

そういう患者さんが増えてほしい

 

そう思うようになってきた。

どうすればいいか。

 

 

患者さんからの言葉を集めてみた。

今日は患者さんからの言葉を集めてみた。

 

・日に日に良くなっているよ。

・やっぱりやってもらうとそのあとは違うね。

・リハビリするのが楽しいよ

・寝たきりになるかと思ってた。本当にありがとう。

・普通の人よりも普通の人みたい。

・病気ないみたいな歩きできるようになった。

・入院する前より調子いいよ。

・先生の話さっきしてたんですよ。

・先生のおかげでもう少し生きる気持ちが湧いてきました

 

いつも

できなかった反省点に目が行きがちで

できない自分に苛立ちを感じてしまうことがある。

もっとできるはずなのに!と自分で理想を追い求めてしまうことがある。

 

でも立ち止まって

患者さんからの感謝の言葉を並べてみると

価値を提供できているのかもしれない。

 

特別なことはしていない

理学療法士として

運動療法や物理療法を用いて

基本動作獲得のために治療を行っただけ。

 

そのために評価を行なって行っただけ。

しっかりと現状を伝えただけ。

しっかりと話を聞こうとしただけ。

 

特別なことなしにこれだけ良い思いをさせて思えるこの仕事は

かけがえのない仕事なのかもしれない。

半膜様筋:内側ハムストリングス

機能

・股関節の伸展、膝関節屈曲

・下腿の内旋

・下肢を固定すると骨盤を後傾する

⇨歩行時の踵接地時に生じる股関節屈曲モーメントを制動し体幹の直立保持に約立つ。

 

・内側ハムストは筋出力を発揮するために速筋線維が豊富で、

外側ハムストは姿勢制御にかかわるために遅筋線維維が豊富

 

働くことでのメリット

膝関節屈曲時の内側半月板や後方関節包の挟み込みを防止し、

円滑な屈曲誘導をする。

 

半膜様筋により内側半月板がうまく後方へ引かれる。

 

働かないことでのデメリット

他動的な膝屈曲時に、膝窩部に疼痛を訴える場合は、

内側半月板や関節包のインピンジメントに原因である場合が多い。

 

ハムストリングスの短縮が起こることで

大臀筋の収縮力が弱まって萎縮をきたすことになる。

大臀筋の萎縮は立位の不安定性をもたらすことになる。

結果的に慢性腰痛症や腰椎椎間板ヘルニアを起こす原因となる。

 

 

腹横筋(コルセット筋肉)

インナーマッスルで大切でありコルセット筋肉と呼ばれている腹横筋についてのご紹介

 

機能

腹壁を内側に押し込む

(強制呼気、咳、くしゃみ、排便、嘔吐などに必要)

 

働くことでのメリット

アイソメトリック(等尺性)に収縮することで下位胸椎と腰椎を支持する

 

腹横筋は脊椎の横突起についているため

収縮させることで棘突起が安定する(脊柱が安定する)

棘突起が引っ張られるイメージ。

多裂筋や腸腰筋が同時収縮するためには脊柱が安定している必要がある。

=⇨圧迫骨折などでコルセットをつけるときは胸腰筋膜を引っ張るイメージでつけるのが良い。

 

働かないことでのデメリット

多裂筋や腸腰筋は腹横筋が先に収縮しないと活動できない。

腹横筋により軸が作られる。

 

腹横筋は胸椎屈曲していると働けない。

胸椎伸展させることが腹横筋を働きやすくする。

 

多裂筋が萎縮していると胸腰筋膜(腹横筋)にテンションをかけられない

多裂筋が萎縮していると代償として広背筋が作用する(肩関節伸展、回内する)

  

レーニング方法

(臥位にて)

腰を丸めて床につける(5秒ほど保持する)、足を上げる、交互に膝を伸ばす

 

hand-knee

elbow-toe

 

胸骨柄の高さを変えずに息を吐く

⇨腹横筋のトーンが上がる。

(横隔膜が上がり肺をストレッチ、肺のコンプライアンス